津島市民病院

ACPのギモン

更新日:2021年12月23日

ACPって何だろう。はじめてみたいけれど、やっぱりよく分からない。
あなたの疑問を解決します。
もしもの時をいつ迎えるかは誰にもわかりません。だから、今のうちに人生の最終段階のことを考えておきましょう。あなたが希望する医療行為やケア、あなたが判断できなくなったときに誰に判断してもらいますか。あなたの思いを周りの信頼できる人や大切な人に前もって伝えておきましょう。あなたが最期まで自分らしく生きる手助けとなります。共有されたあなたの思いは、あなただけでなく、家族など周りの人たちの負担を軽減することにもつながります。
さあ、ACPはじめましょう。

ACPについてのよくある質問

まだまだ元気。病気もしていない。最期のことはまだ考える必要はないと思う。

「もしもの時」は思いがけないタイミングで誰にでも訪れるものです。年齢や健康状態に関係なく、早めに始めるに越したことはありません。反対に、考えていなかったときに後悔するかもしれません。

「死」について考えるなんて縁起が悪い。

「死」はタブー視されがちです。しかし、どんな生物も生まれた瞬間から死へのカウントダウンが始まっています。ご存知のとおり、死亡率は100%です。ACPで目指すのは、「死」を受け入れることで、それまでの人生をどう生きるかを模索することです。それは、自分の好きなことや、大切にしていること、できれば避けたいと思うこと、そして周りの人たちとの関わりについて考えることも含みます。決して「死」という点についてのみ考えることではありません。ただし、場合によっては「リビング・ウィル(事前指示書)」として人工呼吸器の使用等の話になることもあります。

何から考えればいいのか見当がつかない。

心をつなぐノート

海部医療圏 在宅医療・介護連携支援センター(あまさぽ)において「心をつなぐノート」として、最期を迎えるにあたって、準備しておいた方がいいことなどをまとめたノートを配布しています。いわゆる「エンディングノート」と呼ばれるものです。考えるきっかけとして参考にしてください。

家族なんだから、わざわざ改めて話し合ったり、記録に残さなくてもわかってくれていると思う。

必ずしもあなたの希望と家族の希望が一致しているとは限りません。人生で何を大切にしているかは、家族であっても人それぞれ違うものです。本当に周りの人は、わかってくれているでしょうか。あなたの希望を伝え、それに対する家族の気持ちを受け止め、一緒にエンディングノートを完成させましょう。状況が変わって、気持ちが変わっても大丈夫です。その都度書き直しましょう。

いろいろ考えたつもりだけれど、もし、考えていないことが起こったらどうすればいいでしょうか。

思いもよらないことが起こることは当然あります。それでも、事前にあなたが大切にしたいこと、してほしくないことを伝えておけば、周りの人はその気持ちを尊重してくれるはずです。思いもよらないことが起こったときのために、あなたの代わりに判断をしてもらう人を決めておきましょう。

最期は自宅で迎えたい。でも、家族に負担はかけたくない。

ご家族と思いを話し合ってください。在宅で受けられる医療やケアについて不安なことはかかりつけ医や訪問看護ステーションなどに相談してください。訪問診療を行っている診療所もあります。

家族はいない。独り身だけど、どうすればいいでしょうか。

大切な人、信頼している人は家族とは限りません。友人や親戚、ご近所さんかもしれません。ケアマネジャーや施設で関わっている人、場合によっては相談に乗ってもらった市役所の職員の可能性も。家族で話し合うのと同様、事前にそれらの人に気持ちを伝え、記録に残しておきましょう。

親からACPについて相談されたけれど、どうすればいいかわからない。

ぜひ、思いを聞いてあげてください。ご本人の気持ちを尊重しつつ、あなたの気持ちも伝えましょう。不安なことは、他の人(かかりつけ医や看護師など)に相談しましょう。時間があれば準備できることもたくさんあります。大切な人の気持ちを聞くことで、あなた自身がどう生きていくかの指針にもなるはずです。

ACPについて相談されたけれど、やっぱり、内容が受け入れられない。本人以外の私たちの気持ちはどうすればいいでしょうか。

ACPの基本は、「本人がどうしたいのか」です。その人の人生は、その人のものです。でも、その人生の中にあなたがいたことも事実です。受け入れ難い内容であることをきちんと本人に伝えましょう。対話からどうしてその内容が受け入れられないのか、どうして本人がその選択を行ったのか、思いを聞いてください。不安なことや気になったことは、かかりつけ医やその他の専門家に相談してください。それでも、最終的には本人の意思を尊重するというのがACPに取り組む目的です。

親にACPについて考えるように勧めたほうがいいでしょうか。

ACPのことを知らないのであれば、「ACPとは何か」や「人生を考えるきっかけ」として話してみましょう。ただし、具体的な取組みは、本人の主体的な行いによって考え、進めるものですから、知りたくない、考えたくない方へは無理強いしないようにしてください。例えば、あなたの立場のACPについて話を始めることで、親御さんが考えるきっかけになるかもしれません。

認知症を持つ人にも有効でしょうか。

できれば、認知症を持つ前から話し合っておくことが理想です。そうすれば、認知症を持つことになった後は、周りの人がこれまでの話し合いの状況から推測し、本人にとって最善となるよう推定意思を尊重します。すでに認知症を持っている方については、認知症の度合いにもよりますが、どういう人生を送ってきたのか、好きなことは何かなど、答えやすい質問から身近な人が話を聞くことが大切です。

受けている医療、今後受けることになるかもしれない医療行為、内容について、素人だから詳しいことはわからない。そこは医師に任せればいいですよね。

医療行為についても、本人の同意が必要です。本人の同意が得られない状況の場合は、周りの方にお願いすることになります。その際に必要となるのはやはり事前のACPです。現在何らかの病気にかかっている場合は、今後必要になる可能性のある医療処置や内容について、医師はしっかり説明する責任があります。少しでも疑問があれば、医師やその他の医療関係者に相談してください。SDM(シェアード・ディシジョン・メイキング)といって、治療や検査に関するメリット・デメリットを理解した上で、納得して医療を受けられるように、医療者と患者さんがお互いの情報を共有して患者さんの意思決定のサポートを行っています。

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